花期が長い木を教えて下さい(16)
アセビ/あせび/馬酔木
本州(山形~宮城以西)、四国及び九州に分布するツツジの仲間。
日本特産の常緑低木で、やや乾燥した林地や砂礫地、山の尾根などに群生することが多いです。
木全体に毒性があって他の動植物を寄せ付けないため、アセビだらけの景色を作り、奈良の春日大社、
奈良公園、箱根、天城山などは名所として知られています。
万葉集にもその名が登場するほど古くから親しまれ、春に咲くスズランのような小花を観賞するため、
庭木としても普及しており、日本庭園において灯篭や庭石の傍に植えるのが最も似合いますが、
花も葉も明るく、洋風の庭にも違和感なく植栽できます。
アセビの落ち葉には他の植物の成長を抑制する物質が含まれ、アセビ下では他の植物が育ちにくく、
また葉が持つ有毒性を活用し、葉を浸した桶の水や煎じた葉をトイレや畑に撒き、
害虫駆除や家畜の皮膚病に用いたりします。
漢字名のとおり、馬がアセビの枝葉を食べると呼吸中枢が侵され、酔ったように脚が不自由になる事から
「アシビ(足痺れ)」の別名があると言われています。
常緑樹としては寒さや、大気汚染、潮風、乾燥にも強く、相当条件の悪い場所にも植えられますが、
ただし、陰樹の性質があって直射日光や西日には弱く、適度な日陰の方が花も葉も美しいです。
枝分かれが多く、自然に樹形を整える為、余り手をかけずに育てる事ができるますが、しかし、
木全体の形としては、頭でっかちなものや、不恰好に育つものも多いです。
芽を出す力はあり、刈り込みに耐えるものの、成長は緩やかであり、刈り込みによって形をビシッと
決めるような木ではないので、手入れは、大きく飛び出した枝や、根元から出る「ひこばえ」、
内部で枯れ込んだ枝を切除する程度にとどめて下さい
また、剪定で生じた枝葉は毒性があるため、適切に処理する必要があり、花は前年に伸びた枝先に咲く為、
秋以降に剪定すると花数が減ります。